外国人労働者Q&A

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Q1 初めて外国人を正社員として雇用したが就業規則や雇用契約書などが日本語版しかない

Q「初めて外国人を正社員として雇用しましたが就業規則や雇用契約書などの英語版がありません。そのような場合、どのような形で労働条件や会社のルールを説明しておけば良いでしょうか?」


初めて外国人スタッフを雇用する企業や在籍する外国人スタッフが少数の場合、ボリュームの大きい就業規則を外国語に翻訳するのは会社にとって負担になります。

本来は、会社のルールや労働条件などが全て記載されている就業規則をその外国人の母国語に翻訳し、配布することが一番良いのですが、それが難しい場合、さしあたり労働条件の詳細やどうしても伝えておかなければならない「雇用契約書」だけでも母国語版を作成してあげてはいかがでしょうか。

主要な言語であれば、下記の各サイトでも雛形を無料で公開しています。

【無料で利用できる労働条件通知書の雛形(多言語あり)】

■厚生労働省「外国人労働者向けモデル労働条件通知書」 ―一般労働者用

https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/040325-4.pdf

■名古屋外国人雇用サービスセンター ―一般労働者用

https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-foreigner/shiryou_ichiran/roudou_jouken_tsuchisho.html

■公益財団法人 国際研修協力機構(JITCO)―技能実習生用

https://www.jitco.or.jp/download/download.html

Q2 エンジニアとして新しく採用した外国人が日本語が完全ではないので給与に差をつけたい

Q「エンジニアとして新しく採用した外国人が、まだ日本語が完全ではなく、業務上サポートしなければならない点が多いので、同じ職務を担当する日本人社員よりも低い給与額に設定したいと思いますが、このような措置は法的に問題ないのでしょうか?」


単に「外国人だから。」という理由だけで、給与額において、同じ職務で雇用している他の日本人社員と差をつけることはできません。なぜなら、労働基準法は(第3条)で、「使用者は労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金・労働時間その他の労働条件について差別的取扱いをしてはならない。」と定めているからです。もちろん、通常の日本人社員と同様に職務が異なれば、給与に差がつくのは問題ありません。

違反した場合は、"6か月以下の懲役または30万円以下の罰金"という罰則規定もあります。


特に、エンジニアのような高度な専門的知識を持つ外国人社員は、そもそも日本語能力というよりも、その専門知識と能力を前提に採用され、入社している人材ですので、「日本語がつたなく、業務上サポートが必要だから。」という理由で、日本人社員より給与を低く設定することは、そもそも矛盾しています。
 

Q3 当社で雇用している外国人社員を業績不振により退職勧奨を行い本人がこれに応じた

Q「当社で雇用している外国人社員に対して本人の能力不足・業績不振により、退職勧奨を行い、本人がこれに応じたため退職させることになりました。人事労務管理の面での注意点を教えてください。」


次の就職先を決めずに退職する外国人社員については、現在持っているビザ【「永住」や「日本人の配偶者等」は除く。】が就労系の「人文知識・国際業務」や、「技術」などの場合、会社を退職し社員としての身分を失うことによって、その失業期間は、現存のビザで許されている日本に在留する資格を一時的に失ってしまうことになりますので注意が必要です。 


ただし、入国管理局では、外国人労働者が、自分自身の意思による自己都合退職する場合は別として、会社都合による退職勧奨・解雇などによって失職した場合については、日本国内で再就職する意思を持ち、求職活動を続けている限り、少なくとも現在保持している在留期間内の在留を認め、また、その在留期間が切れても事前に申請を行えば、一定期間の在留期間の更新を特別に許可する対応を行っているようです。

Q4 新しく雇用した外国人社員に当社が借り上げている社宅を提供したい

Q「新しく雇用した外国人社員に、当社が借り上げている社宅を提供したいと思います。家賃の控除やその他、社宅使用上の注意点など何か特に日本人に対する取扱と異なる点がありますか?」


外国人社員を雇用する会社の中でも、家族的な経営をされている企業や飲食店業など、労務管理に不慣れな小規模事業所に多くみられるのですが、雇用している外国人スタッフを自社の借り上げ社宅や会社が所有している住宅に住まわせ、家賃はもちろん光熱費なども全額会社持ち、それら費用を差し引いた額を純粋に給与として支給している会社が時々あります。
 

このような場合、例えば総支給額は25万円と規定し、その中から家賃5万円、光熱費などの経費3万円の計8万円は、会社側が完全に負担して支払い、残り17万円を単純に給与として外国人スタッフに支払ってしまうと、手取り給与額が実態を示さず、 相当に低い額となってしまいます。

こういった取扱いは、税法上や労働・社会保険法上にも大きな問題があるだけではなく、外国人スタッフの次回の就労ビザ更新の際にも重要なデメリットになる可能性があります。


就労ビザ更新の際は、前年度分の納税証明書を外国人本人が住んでいる管轄の市区町村役場で発行してもらい、添付が必要となるのですが、納税証明書には、会社からいくら給与を受けて、いくら納税したかが一目瞭然で記載されますので、件の社宅費や生活費を負担するのであれば、給与計算上は、必ずそれらの費用は、「現物支給」分として、その分の総額も支払給与額に必ず含めるように処理をしてください。

でないと、会社側が外国人に対して不当に低い給与しか支払っていないと入国管理局に判断され、就労ビザの許可基準を下回り、ビザがおりないという結果にならないとも限りません。

Q5 自社で雇用する外国人社員が退職したが退職したことを入国管理局に連絡する必要はあるのか

Q「自社で雇用する外国人社員が退職しましたが、退職したことを入国管理局に連絡する必要はありますか?また、連絡する場合、どのような方法をとればいいのでしょうか?」


自社で雇用する「中長期在留者」で正規の在留資格を保持している外国人社員が退職した場合は、退職後「14日以内」に会社を管轄する入国管理局に対して届出を行う義務があります。

届出は所定の申請用紙に必要事項を記載し、入国管理局に直接届出るか、または電子申請あるいは郵送でも行えます。


注意点としては「雇用対策法に基づく外国人雇用状況の届出が義務付けられている機関は除きます。」という措置があり、雇用している会社が雇用保険に加入していて、退職する外国人も雇用保険の被保険者である場合は、その方の退職後、通常の雇用保険の「資格喪失届」を管轄のハローワークに提出すれば良く、結果的に上述の、入国管理局への届出は不要です。

ただし、退職する外国人が役員等で雇用保険の被保険者ではない場合や、週20時間の稼働時間を満たしていないため雇用保険の被保険者となっていないパートタイマー等、雇用保険の被保険者ではない方が退職した場合には、入国管理局への届出が必要です。

Q6 退職する外国人社員に退職証明書の交付を求められたが任意の書式で良いか

Q「退職する外国人社員に、退職証明書の交付を求められました。次回のビザ更新に必要だということですが、どのような形式の退職証明書を発行すればよいのでしょうか?」


日本人社員・外国人社員に拘わらず、御社で雇用している社員が退職するときには、労働基準法(第22条)の規定により、退職する社員に対し、退職証明書/Resignation Certificateを交付しなければなりません。退職証明書を発行しない企業に対しては、罰金(30万円)という罰則も規定されています。

退職証明書には、下記の5点について記載することになっています。 

  1. 使用期間
  2. 業務の種類
  3. その事業における地位
  4. 賃金
  5. 退職の事由(解雇の場合は、その理由を含む)

ただし、退職する社員が、上記5点の内のどれか、例えば、「賃金については、記載しないでください。残りの項目のみを記載して発行してください。」と要求した場合には、要求された賃金についての記載を除外して退職証明書を発行しなければなりません。


また、外国人社員に対して退職証明書を発行するときには、特に下記の2点に注意していただく必要があります。

■ 職種・入社日・退職日の3点については、外国人社員本人から(除外の)希望があっても必ず記載する。

外国人社員が会社を退職した後、転職などで次の職場に移る場合(就労資格証明書=転職許可申請)や、又、自ら日本国内で起業する場合(在留資格変更許可申請)なども含め、退職後、外国人社員は、ご自分の就労ビザを引き続き有効なものとするために、入国管理局において様々な手続きを行う必要があります。

そのときに、彼らは入国管理局に対して、自分がいつからいつまで、どこでどんな活動(どの会社で何の仕事)をしていたのかを証明しなければなりません。

そのときに必要となるのが、この退職証明書です。

就労ビザの申請手続きには、職種・入社日•退職日の3項目が記載された退職証明が必ず必要になるので、この3点については、外国人社員本人が「削除してくれ。」と希望しても、将来ビザの手続きに必ず必要になる事を説明した上で記載、発行してください。

■ 必ず日英併記で作成する。 

多くの外国人社員は、退職後は日本を去り、母国又は他の外国で働くことが殆どです。そのような場合、海外の転職先で退職証明書を提出する必要があるかもしれませんし、母国以外の外国で働く場合に、その国で日本と同様の就労ビザを取得する際にも退職証明書は必要になる可能性は大いにあるので、日本語と英語の両方で作成したものを交付した方が、退職される社員にとっても御社にとっても手間が省けます。

なお、退職証明書には、作成責任者の職種・氏名・連絡先も必ず明記しましょう。入国管理局や転職先企業の担当者が確認のために連絡してくる場合もありますので、そのときにコンタクトが取れる連絡先を記載しておく必要があります。

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